「トラック新法」で何が変わる?許可更新制導入と“独法”連携の行方を読む

「トラック新法」で何が変わる?許可更新制導入と“独法”連携の行方を読む

2024年の通常国会で成立した「トラック新法」。この法改正により、運送事業者は今後、5年ごとの許可更新制が導入されることとなりました。これに関連し、全日本トラック協会が示した「独立行政法人との連携構想」が今、業界内で注目を集めています。今回は、この制度変更の背景と今後の展望を、行政書士・バックオフィス支援の立場から解説します。


【許可更新制の導入、その意味とは】
これまで運送業の許可は“基本的に永久有効”という前提で運用されてきました。今回の新法では、許可が5年ごとに更新される「有期制」に変更されます。これは、事業者の運行管理や法令遵守状況を継続的にチェックし、安全・適正な運送を担保する狙いがあります。

言い換えれば、今後は「許可の維持」が単なる書類上の手続きではなく、実態に応じた“審査”になっていくということです。


【焦点:誰がその審査を担うのか?】
この審査体制の整備にあたって、国土交通省の既存の独立行政法人(例:自動車事故対策機構〈NASVA〉など)を中心に“運用主体”が検討されている状況です。

重田理事長の発言を読み解くと、まったく新しい独法をつくるのではなく、「既存の組織に監督・審査機能を組み込む」方向性が現実的であるとのこと。さらに、その実施にあたっては「人・組織・予算」といったリソースを確保し、国費の投入も視野に入れていると述べています。


【適正化実施機関との“住み分け”と連携】
現在、全国で運送事業者の指導を担っているのが、各地域の「適正化実施機関」です。しかし、これらの機関は“公権力の行使”ができず、最終的な許可判断はできません。

今後は、

  • 審査・許可の実行部隊:国交省とその代理となる独立行政法人
  • 日常的なモニタリングと支援:適正化実施機関

という役割分担のもと、データ共有や現場ノウハウの連携が図られることが想定されます。


【経営者が今、備えるべきこと】
運送事業者として最も重要なのは、「更新審査」に耐えうる運営体制を平時から構築しておくことです。
具体的には、

  • 運行管理者・整備管理者の実質的な配置
  • 日報・点呼・教育等の記録体制の整備
  • 重大事故や法令違反の未然防止

これらが形式的でなく、実効性を持って実施されているかが問われます。


【まとめ:行政と現場の“共働”が問われるフェーズへ】
制度設計の具体像は、今後の「推進会議」などで詰められていきますが、事業者側としてはすでに準備を始めておく必要があります。とくに中小の運送事業者にとっては、「許可の更新が通らないリスク」は現実のものとなる可能性があるため、バックオフィス・現場一体での管理体制強化が急務です。

今後の動向を注視しつつ、運送業界全体が「適正運営のスタンダード化」に向けて一歩を踏み出すタイミングといえるでしょう。