白トラ事件に見る運送業の闇──無許可運送が生まれる構造と、今こそ見直すべき経営リスク

白トラ事件に見る運送業の闇──無許可運送が生まれる構造と、今こそ見直すべき経営リスク

白ナンバーのトラックで無許可運送を行っていた、いわゆる「白トラ事件」で新たに5人が逮捕されました。背景には2024年問題に端を発する深刻な業界構造があります。本記事では、行政書士として運送業支援に携わる立場から、事件の解説と業界が取るべき対策を提案します。


【目次】

  1. 事件の概要と摘発のポイント
  2. 白ナンバー運送の何が問題か
  3. なぜ「無許可運送」が横行するのか
  4. リスク管理と許可制度の再確認を
  5. まとめ:今こそ「正しく運ぶ」が武器になる

1. 事件の概要と摘発のポイント

愛媛県など9都県で冷凍魚類を無許可で運送し、少なくとも400万円以上の売上を得ていたとして、4人のドライバーと運送会社の役員1名が逮捕されました。

事件の特徴は以下の通りです:

  • 国土交通省の許可を得ず、白ナンバー車両で営業運送を実施
  • 違法依頼者(運送会社役員)が存在し、組織的に業務を展開
  • 再逮捕・余罪捜査中で、常習的な構造が示唆される

これは明確な「貨物自動車運送事業法違反」であり、重大なコンプライアンス違反に該当します。


2. 白ナンバー運送の何が問題か

本来、貨物の有償運送には国の営業許可と緑ナンバーが必須です。白ナンバー車両を使って有償運送を行えば、

  • 事故時の補償が適用されない
  • 労災・保険の不備
  • 荷主企業の責任問題にも波及

といった、経営に直結するリスクが発生します。知らずに依頼しても「結果責任」は逃れられません。


3. なぜ「無許可運送」が横行するのか

背景には、いわゆる「2024年問題」があります。

  • 働き方改革による拘束時間の上限
  • ドライバー不足
  • 人件費の高騰

これらが重なり、法外なコストカットに走る企業や個人が現れています。特に中小の運送業者にとっては、「抜け道」に見える手段が魅力的に映ることもあるでしょう。しかしそれは、法令遵守を重視する多くの事業者の信頼と競争力を損なう行為でもあります。


4. リスク管理と許可制度の再確認を

今一度、経営者や運行管理者として確認していただきたいポイントは次の通りです:

  • 自社および委託先が【営業許可】を適切に取得しているか
  • 運送契約が【法的に適正】かつ【書面で明確】になっているか
  • 業務委託(請負)と雇用の区別が曖昧になっていないか

行政処分や刑事責任のリスクを防ぐには、許可制度の理解と、協力会社のガバナンス強化が欠かせません。


5. まとめ:今こそ「正しく運ぶ」が武器になる

法令を守り、正当な許可と体制で運送業務を行っている事業者こそ、いま社会的信頼が問われています。不正な業者との価格競争に巻き込まれないよう、「正しく運ぶこと」が逆にブランドになり得る時代です。

今回の事件をきっかけに、自社の運送体制・契約スキーム・パートナー選定を、今一度見直してみてください。

「知らなかった」では済まされない時代。だからこそ、慎重に、誠実に。
業界の健全化と自社の成長のために、一歩踏み出しましょう。